基本情報

トレーサビリティについて

トレーサビリティとは

Trace「痕跡」、Ability「能力」による造語で製造工程の痕跡を辿って、過去へ遡り不具合等が発生したポイントが把握できるようにしておくことを指します。企業の信頼を高める為に発生した不具合の原因を早期発見し、対処をする為のしかけ作りで、コンプライアンス意識の高い企業ではこちらの対応が必須となるところも少なくありません。トレーサビリティというのは考え方の総称なので、トレーサビリティに対応した機械装置を検討する際はそれなりの考え方が必要。という事になります。

トレーサビリティの実施例

トレーサビリティを考慮した実例を挙げていきたいと思います。

 製品に通し番号をつける

トレーサビリティの基本中の基本で、そもそも今作っている製品にユニークな番号をつけてあげることです。不具合発生時にはこの番号を基に各工程での検査結果と不具合を照らし合わせていく為、これがないと機械装置側で検査をしていてもピンポイントでの不具合原因の解明には至らない事もあるのでユニークな番号またはある程度のロットとして把握する為の記録をつけて管理する事は必須項目となります。使用するFA機器の事例は以下の記事をご参考ください。

・RFIDタグで管理する

・インクジェットプリンタで印字する

 ねじの締付

ねじの締付は緩んで部品が外れると不具合となってしまう為、その締付トルクを数値によって指示されています。また締付後のビスの高さもしっかりと締結されているかのチェック対象である為、規定のトルクで締結を行ったか、また締結後のビスの頭の高さが何㎜となっているかを測定する事により該当のねじの締結が妥当であったかを判断します。また間違った色のねじが取り付けられていないか

・ねじの締付を管理する

 製品管理システムとの連携

自社製品を製品管理システム等を使って管理されている会社も多いですよね。その際はそのシステムと機械装置の連携が必要となってきます。検査結果を全てデータで保存し、異常時は管理システムと通信しての情報を更新するしかけが必要です。CIM(Computer Integrated Manufacturing)と呼ばれていて、通信する機器をCIM通信機器と呼んだりしています。現場にある装置と管理システムがやりとりする為の機器という事ですね。まずは異常履歴を保存しておける制御プログラムとすることが第一歩ですね。

トレーサビリティでの原価低減

少し話は逸れますが、検査項目を一つの商品の機能に頼れる場合とそうでない場合があります。上記のねじの締付についてはねじの締付のツールを製作しているメーカーのオプションとしてとても便利な機能として搭載されれていますが、それって結構メーカー側とすると重要ポイントであったりします。

メーカー側の立場では検査に便利な機能の開発は他と差別化できて自社製品の売り上げアップにつながる。という点でとても有効な開発であると判断できます。

装置製作側の立場では自社の検査に必要な機能だけを最小限の機器で実施する事ができれば不要なオプションをつけることなく最適な投資で機械装置を製作する事ができます。

基本的には装置製作側が搭載する機器の仕様をきちんと把握して採用の可否を決めていくという事が重要です。ねじの締付の例ではトルクの管理は必要であるが、締結後の頭の高さの管理は不必要な場合、オプション無しの締結ツールにトルク管理の機能のみ(必要な機能のみ)を搭載した場合とそうでない場合の価格差をきっちりと検証されているかという点が最適な機械装置への投資となるので、一つ一つの機能に対する造詣を深めていく事がトレーサビリティにおける原価低減(無駄に投資しない)に繋がりますよね。

まとめとして

昨今のトレーサビリティに対する要望はとても高いものがあります。企業コンプライアンスの高まりと共に、不良品の流出が致命的になりつつあるからです。その為、機械装置に求められる仕様も高まり、機械装置自体の金額も高くなる傾向があります。特に制御機器は多種多様な機能をもつ製品が増え、若干過度なスペックである製品もメーカー側からは提案されがちです。日々製品に対するアンテナを張り、適切な機器の採用を心掛ける事が携わる担当者としては最善の術であるという事だと思います。

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