基本情報

(エアシリンダ)落下防止について

(エアシリンダ)落下防止について

エアシリンダでモノを昇降させる際に切っても切れない落下防止について実現方法とそのメリットデメリットを示したいと思います。一概に落下防止と言っても何をどうしたいのかに依って方法も機器も費用も制御も異なるはずです。今回は考えられるパターンとその構成部品も簡単に紹介できればと思います。

ここでは非常停止時等によりエア源からの加圧が無くなった場合、昇降しているエアシリンダの落下防止について考える事とします。

1 電磁弁(クローズドセンタ)を用いる

ダブルソレノイド5ポート3位置クローズドセンタタイプの電磁弁を使います。配管内の圧縮空気が閉じ込められる為、基本的にはその場停止をします。

メリット

・安価に実現可能

・制御への負担が少ない

あまり費用を掛けない、昇降物の重量が軽く大きな事故につながる可能性がほとんどない場合は電磁弁(クローズドセンタ)での対応が良いかと思います。

デメリット

・配管内に残圧がある

・エアのリーク分ゆっくり落下する

メンテナンスの際に配管を外して動作したシリンダに挟まれての事故。これは実際に私の周りで発生した事故でそれ以来センタークローズの電磁弁が使用不可となった事例があります。手動で残圧を抜く商品を使う事は必須であると思いますが、人のやる事なので完全に防止ができないのが怖いところですね。またエアリーク分落下するので、連休明けに下端まで落下しているなんて事もありますよね。SMCにはリークを限りなく少なくするパーフェクトブロックスペーサなんて商品もあります。

 

2 ロック(ブレーキ)付シリンダを用いる

エア供給が切れた際に、物理的にシリンダのロッドを把持してその場で停止させる事のできるシリンダを使います。SMCではロック付シリンダ、CKDではブレーキ付シリンダと呼ばれている製品となります。

メリット

・シリンダに残圧を残さず使用する事が可能。

・メンテナンス時は手動でロック解除が可能。

シリンダ内に残圧を残す事が禁じられている場合の落下防止はもう外部的に保持するしかないのロック付きシリンダを用いる事が一番手に挙がると思います。

デメリット

・電磁弁の数量が増えて制御の負担が増える。

・ブレーキシュー等のメンテナンス部品が増加する。

制御は煩雑になる方向にある事と、もしセンターオープンを使用した際は飛び出し防止の対策が必要となります。物理的なロックである事から使う頻度に依ってはある程度頻繁に交換する部品が発生する可能性があります。

3 外部ブレーキを用いる

具体的にはリニアガイド上にレールを把持するユニットを設ける。という方式になります。スプリングによる把持となる為、選定には計算が必要となります。リニアブレーキという製品名で旭精工から販売されているものもあります。CKDにもそういった商品があるようです。エアが切れた際、逆作動でスプリングがレールを把持するというものになります。

メリット

・重い重量にも対応できる為、落下が大きな事故や怪我に繋がる箇所に有効

・残圧を残さない事が可能

ロック付シリンダでは把持できないような重い重量の場合は外部のブレーキが有効となります。とにかく事故発生の高い場面や部品の破損が大きな損失につながる場合は検討してみる事をお勧めします。

デメリット

・機械的な部品の増加に伴う費用の増加

・制御機器の負担増につながる

少し機械的に設計をしっかりと行う必要があります。リニアブレーキの把持力には余裕をもって選定する事で安全を高められると思います。

4 その他について

その他、上昇端でロッドにロックを掛けるタイプのエアシリンダもあります。これは動作端のみで落下防止をする方式です。他にも様々な落下防止策があると思いますので、追記加筆するべきポイントがあればコメント頂き今後更新できればと考えています。

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