基本情報

SMC株式会社を考察

本稿の前提

SMC株式会社(以下SMC)について公開されている情報をまとめて、過去・現在どういった企業なのか、今後どうなっていくのかを考察していく事を目的とします。株式投資される方、空圧機器業界に携わる方に対して少しでも学びがあれば幸いです。

本稿で参考としているSMCの情報は2023年4月現在のものです。SMCは上場企業である為、記載する誤った情報はSMC及びその株主に不利益が発生する場合がありますので、不備を確認された場合は訂正致しますのでご指摘ください。また企業情報の最新はSMCのHPをご確認してください。

SMC株式会社について

SMCについてですが、超簡単に表現すると「日本にある世界トップシェアの空圧機器メーカー」です。空圧機器というのは主に工場で用いられる圧縮空気を用いた機械部品ですね。

SMCは会社としては東証プライム市場上場でTOPIXCore30の銘柄にも含まれているとても優良な企業です。SMCの事は良く知らなくても積立NISAとかされていると投資信託で実はSMCの株主となっている方は多いのではないでしょうか。

過去10年間の推移(2023年4月現在)

売上推移のグラフを作成してみました。

2013年3月度に3,231億円であった売上が2022年3月度には7,273億円にまで成長しています。特に2021年から2022年の間の上昇が顕著ですね。日本国内と海外の売上を合わせて表示している為、海外での需要が増えたからと見て取れます。

コロナ禍で米国は市場にとてもお金を注入したイメージがあるので、そちらの需要が増えたのかと思いきや、どうやらアジアの需要の増えたみたいですね。ここでは特に中華圏(中国・台湾・香港)の半導体及び電機関連の上昇が激しいとみて取れました。

半導体及び電機関連という事で、昨今の中国、台湾の半導体や電池事業への投資の凄まじさというのが背景にあると思われます。熊本にTSMCの工場ができるという事で現地への投資がバブル期みたいになっているというニュースがありましたが、それが常態的にもっと大規模で実施されているという感じでしょうか。そして、その需要をSMCが掴んでいるという事なのでしょう。

日本国内の売上は微増を続けてはいますが、海外の伸びを見ると横ばいと言わざるを得ないですね。これは寂しい感じがしますが、この数字は体感とあっていると思います。

簡単にまとめると、SMCのこの10年間の動きとしては海外の売上を伸ばして成長しており、特に中華圏(中国・台湾・香港)が顕著である。となります。

詳細データはSMCのHPからみる事ができます。ここで私個人がまとめた数値は決算資料の一部をエクセルに入力したものがあるので、気になるという方は以下からDLしてみてください。

過去10年間についての考察

先の項では中華圏の需要を捉えて大きく伸びたという事を申し上げましたが、SMCの凄いところは他の地域(日本、北米、欧州等)でも売上は伸びているという点にあると思います。中華圏での大きな伸びがある場合、地域別売上構成比率というグラフが大きくバランスが崩れてもおかしくはないですが、他の地域も需要を捉えて中華圏程ではないにせよ売上が伸びている為、そのバランスが大きく崩れていないのは世界的にどの地域もきちんとしたセールスを実施している(できる)という証拠であると思います。

資産運用の世界でいうところのポートフォリオ構成やアセットアロケーション(資産配分)の比率を守っている感じです。そういった点では健全さがうかがえますよね。全体の売上を伸ばしながらその売上の構成比率をなるべく守りながら経営を行う。なんて簡単に言っていますが、決して簡単な事ではないですよね。

投資先としてのSMC

SMCは上場企業ですので、一般投資家の立場としてどうなの。という点で情報をまとめてみたいと思います。

株価推移(2023年4月現在)

株価の推移は以下の通りです。(TradingViewより引用)

堅調な株価推移でここ10年くらいでは20,000円くらいから70,000円くらいと大きく伸びている事が分かります。

その他指標(2023年4月現在)

配当利回り1.30%(会社予想)
PER20.52倍
PBR2.68倍
ROE12.4%(2022年3月度)

拙い知識ですが簡単にその他の指標を一覧にしています。株式投資における個別企業分析というものはした事がない私ですが、現段階では割高感があるのではないかという感想です。

空気圧機器ユーザーから見たSMC

私は空気圧機器を多く使う仕事をしている為、SMC製品というのは日々触れる立場にあります。そのユーザーとしてSMCという会社、SMC製品を見た場合を説明したいと思います。あくまで日本国内でのユーザーとしての意見となりますので多少視野が狭い事はご了承ください。

SMCを使うメリット

SMC製品を使うメリットというのは数多くあります。国内のシェアはNo.1の65%程で空圧機器メーカーをどこを使おうかと悩む場合はほぼSMC一択で問題ありません。

製品の品質や価格等は競合他社も決定的に悪いところは無いのですが、SMCをユーザーに選ばせる一番のメリットはサポートの強さにあると考えています。技術的なサポートは競合メーカーもあまり不満は無いのですが、部品供給のサポートが抜群である印象です。つまり代理店、販売店の質がとても良いという事になります。

エンドユーザはSMCから直接製品を購入する訳ではなく、代理店を通して購入しています。その代理店の営業担当のレベルが高く、顧客満足度が高いというのが個人的な実感です。多くのエンドユーザがSMCを指定の空圧機器としているのにはそういった背景があるからだと思っています。

SMCを使うデメリット

空気圧機器メーカーにも各メーカーである程度特徴があり、強い分野、弱い分野があります。その為、業種、業態によってはSMCではなく他メーカーを指定して使用しているエンドユーザーもいますが、デメリットという点ではあまり無いと考えています。

空気圧機器ユーザーとしてのまとめ

空気圧機器は極論として本当はどこのメーカーでも問題はありません。SMCは販売力の強さで日本国内では今の地位にあるのであると私は考えています。つまり逆を言うと、他メーカーのサポートがとても充実し、且つSMCのサポートが悪くなるのであればシェアは逆転する可能性がある分野であると思っています。案外空圧機器はメーカーの乗り換えが容易な部類であるので。その点はおそらくSMCも良くわかっていると思いますし、SMCの担当営業や代理店の対応が悪くなる未来は今のところ考えられません。

SMCの今後の動向と予測

まず最初に空気圧機器ユーザーの視点から見ると、日本国内では変わらずトップシェアを継続し、その存在地位は揺るがないと考えます。また、日本自体がこれから人手不足により既存のエンドユーザに加えて、新たな自動化ニーズを含む顧客は増加すると予想される為、継続したある程度の伸びは可能であると考えます。

海外販売においては、規模が大きくこちらが主戦場ではないでしょうか。中華圏だとAirTacやCHELIC等のメーカーとの競合がどうなるかで売上に大きく影響するのでその辺りは注視が必要なのではと思います。

10年程前、私はSMCについてふと思った事がありました。当時からSMCはとても大きな企業でしたが、ロボシリンダの登場によって、エア機器のメインであるエアシリンダ類については、今後ロボシリンダに取って変わられるのではないだろうか。空圧機器メーカーは斜陽産業で、今後はロボシリンダメーカーがしのぎを削る時代なのではないか。なんて未来予想をしたのですが、まんまと大外れでした。

まとめ

SMCに関する考察をまとめました。

・売上は基本的に右肩上がり

・地域別売上では中華圏(中国・台湾・香港)がトップ売上

・業種別では半導体・電機がトップ売上(2020年までは自動車がトップ)

・日本国内売上も売上増を継続

・株価は割高感はあるが、堅調に上がっている

・営業的に日本国内では敵なしで将来的にもトップシェアは継続

・主戦場は海外で競合メーカーとの争いに注視が必要

以上、ご意見等を頂けると励みになります。

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